~バスケットボールのコーチングで心掛けている事柄~(以下に記載する事は基本的に自分個人の考えです。)

  1. 信頼関係が出来るまでは、基本指導をしない。(褒めたり賞賛・激励はします。)あんまり知らないコーチ、人間関係が築けていないコーチとか知ってはいるけどコーチの立場ではない等の大人(親も含めて)から、時にあれこれ指導されても子供たちは多くのケースで実は素直に聞き入れてくれてはいません。それどころか言われた事が技術的に正しい、有意義であるかもしれない事を多少認識していても「そのくらい元々知っているわ、分かっているわ、今たまたま出来なかっただけだわ、だいたいどうして貴方にそれを言われなくてはならないのか。」と子供たちはこのように考えて、反発するだけで逆にその時以降そのコーチや大人の事は、そういったちょっとした反発心から本当の意味で信用はしなくなります。つまりそれ以降ずっと信頼という関係は築く事が難しくなると考えています。
  2. 「なぜ」をじっくりと観察する。コーチングでいつも思う事がたくさんがあります。まずは「なぜこんなに毎回毎回言っているのに出来ないんだろう?」です。たとえば「ドリブルをしている時にゴールを見なさい。(時々でもいいから。)」と言っても出来るようにならない子供はたくさんいます。それに対して様々なコーチたちは「いつもいつも見ろって言っているのに、ちゃんと聞いているのか!(怒)」とか「意識が低いんだよ!(怒)」とか「見なきゃだめじゃん!(怒)」とか「見ないとバスケにならない!(怒)」とか訳の分からない事を言い出します。(これを聞いている子供たちの顔、表情、目は凄いものがたぶんあります。ここで考えなくてはならない事は、出来ない理由は一つではないという事です。自分が知る限り、多くの場合はハンドリング力が決定的に不足しているという事です。手でボールがある程度自在に操る事が出来る様になっていない子供たちは当然、ボールの方に気を取られてしまうので、ドリブルを始めるとボールの方をついつい見てしまいます。そんな子供たちに「ゴールを見ろ」といっても上手くいかずまた怒られ、今度は失敗を恐れて練習しなくなったり、「ドリブル苦手。」とか早くも結論つけたり、やっぱバスケットボールあんまり好きじゃないな・・。とかになります。またハンドリング力がある程度あっても、今までのミニバスや部活の指導でほとんど言われた事がなく何年も過ごしていると、いわいる「クセ付け」(習慣づけ)が出来ていないので、すぐに出来るようになりません。(何度言っても出来ないという現象はこういう理由から来ていると自分は考えています。)ハンドリング力不足の子供は、ハンドリング練習を頑張ってもらいドリブル中はその事は言わないようにします。(後で触れますが、指導時期尚早だという事です。)ハンドリング力がある程度付いている子供たちは、何度も何度も出来るようになるまで、ティーチングします。(クセ付けと意識付けですね。)で、ティーチングします。それから「なんでとっとと練習を始めないのか?」これも子供によって全然違います。アーリーバードでは、始まる時間を特に決めていません。(理由は少年団や部活や試合などから参加する子供が多く、また習い事や塾終わりから参加するので集まる時間が全く異なる事からですが。)早くシュート練習を始める子もいれば、ゆっくりと靴を履く子供、しゃべっている子供。これについては、あまり言及していませんし、指導もゆるやかにするに留めています。なぜか・・アーリーバードは少年団や部活とは違ってあくまで任意で参加していますが、参加してくる子供一人一人の参加する理由が違っているからです。アーリーバードでは参加しているのが全員基本女子なので、特にですが男女の違いも考慮しています。以下は「ゴールドスタンダード・ラボ」からの引用ですが、これらの事柄に自分も賛同してそういった事を考慮しています。男子は、競争するため、勝つためにプレイします。とてもシンプルです。彼らはメダルやトロフィー、そして勝利につながるあらゆる賞賛を好みます。女子は男子とは異なる目標を追求してスポーツを始めます。それはチームの一員として、仲間と友情のためにプレイします。といった記述を読んで考えた結果です。様々な子供たちの参加理由を鑑みて、子供たちに掛ける言葉を出来る限り変えています。(その子の性格・年齢・経験・その日の表情、体調、コンディションなども)そのほか「なぜシュートが入らないのか?」(究極ですが)なども、じっくり考察をして、指導内容と指導タイミング(後で詳しく述べます)を考えてティーチングします。そのほかの「なぜ?」「なぜ?」に関しても、数々のコーチが口にする(してしまう)「なぜ出来ないんだ?(怒)」「どうしてそうなるんだ?(怒)」などのBAD WARDSは絶対に言わないように心掛けています。(たまにおもわず言っていたらごめんなさい。)言われた子ども達は心の中で、「こっちが聞きたいわ。」とか「どうしてかは、コーチが考える事じゃないのかなぁ。」とか思うだけです。常に子ども達がネガティブにならないコーチングが必要だと考えています。
  3. 指導の時期と時機をそれぞれ考える。シュートが入らない子どもに対して、気が付いたことをあれこれ指導する事はある意味簡単で、ティーチングをした方は満足するのかも知れません。何点か気が付いた事を指導をする際に、今言った方が良いのか、今は何を言うべきで今は何を言わない方がいいのか、練習後とかに言った方が良いのかなどを考えて指導するように心掛けています。前に述べましたが、ハンドリング力が不足している子供にドリブルの際にゴールや廻りを見ろという指導は、全体指導のくせ付けでは言いますが特定の子どもにめがけて指導する事は指導時期尚早だと考えています。またフリースローが何本も外れていて精神的に落ちている子どもに、技術的な話しをしても全く聞き入れず、ますます混乱をしてしまいそうな時には、今は一度もう少し手前から打ってみて(フォームを確認したいから)とかで、入れさせてから(気持ちが落ち着いた様子を見て)技術的なアドバイスをするようにしています。つまり指導時機をうかがうという事を心掛ける事を常に考えています。
  4. 子ども達の問いかけには、必ず出来る限り何かしらの答えを出すようにする。練習していると子ども達が、「なぜ○○した方が良いのか?」「どうしてこれは良くないのか?」などと質問してきます。また子供たちの表情や目から???マークが読み取れる時には、その練習の意味やどうして良いのか?どうして良くないのか?を説明してから練習をさせる様にしています。「とりあえずやっとけ!」「いいから走っとけ!」とかは子供たちの???を増やすだけで信頼関係が薄まってしまうので絶対に言ってはいけないと考えています。
  5. 保護者の方にも説明する。保護者の方からいろいろ話を聞いてみる。子ども達が一人一人様々な違った理由からバスケットボールをしている事と同様に、保護者の方々も様々な理由から子供にスポーツをさせています。昔バスケットボールをしていた方やスポーツの事はほとんど分からない方もいる中、協調性を学ばせたいとか子供がやりたいと言っていたからとか・・聞いてみると本当にいろいろな理由があります。自分は子供たちにバスケットボールをもっと好きになってほしいと常に考えていますが、保護者の方々にも子供たちが頑張っているのを常に体育館で見守っていてほしいですし、バスケットボールが分かる方も分からない方もバスケットボールの素晴らしさをさらに分かっていただく為に、練習の意味やバスケットボールの理屈理論について子ども達と一緒に知っていただきたいと考えています。
  6. 必ず全員に声を掛けるようにする。アーリーバードでは、小中学生女子がだいたい10数名が参加しています。出来る限り全員に「あのプレイが良かった。あのプレイはこういう方が良かったかも?こういうやり方があるよ。この練習のポイントはこうだよ。今のプレイはもっとこうした方が良かったね。」等々、様々な声を掛けるようにしています。子ども達はコーチの言う事を聞いています。というか内容ではなくむしろ誰に掛けているのか?とか自分には掛けてくれる声の有無を気にしています。1日(2~3時間)練習をしている中で皆には声を掛けてくれたのに自分には無かったという事が気になる子供もいます。そういった事で練習へのモチベーションが下がる事に繋がらないように出来る限り全員声を掛ける様に努めています。
  7. 6番に付随する内容ですが、あの子はほっといても大丈夫とかを思わないようにする。バスケへの取り組みも真面目、プレイも安定している。常に上達する事を意識して練習に取り組んでいる。実際に日々成長が見られる。そういう子供がたまにいますが、そういう子供でも悩んでいる事もあるし、褒めてもらいたいとかの欲求はあると思うのでハードルを高くして褒める事を忘れないようにしています。
  8. 常に一人一人を観察して、画一的なティーチング、コーチングにならないようにする。一人一人の技術、メンタル、モチベーションによって子供一人一人に与える課題(以下ハードルと記載します。)を、成長具合も鑑みて変えていくようにしています。同じ練習内容でも、出来る子供には成功率を高めてハードルを上げる。また秒数を変える。回数を変える。距離を変える。等々です。そしてそのハードルを達成しようと取り組む姿勢をまず見ます。そして各人がハードルを達成できた時には賞賛の言葉を掛けます。与えたハードルに対して取り組み姿勢があまり見られない時は・・叱る?いいえまずはどうして取り組もうとしないのか観察してから、叱責するのか?アドバイスを与えるのか?もう一度説明をするのか?励ますのか?ヒアリング?ハードルが高い?もしくは低いのか?などなどを考えて、その状況にあった声を掛けるようにしています。
  9. ゲーム練習の中から指導のヒントを見つけていくように観察する。アーリーバードではゲーム練習を常に最後の方で行なっています。理由はいくつかあります。まずは子ども達はゲームが好きだからそれを最後のご褒美として行ない、ますますバスケットボールを好きになってもらう。次に5対5の試合形式でないと見えない景色で練習させる事で試合でどのくらい出来るのか、練習で出来ている事をゲームでも表現できるのかを確認して指導のヒントにしています。(練習で見えない個々の性格や子ども達の人間関係も見えてきます。)またアーリーバードでは、常にシュートを狙う事を全員に指導しています。どうしても子ども達の中には経験が浅く、ボールを持つとゴールも見ずに技術力のある味方を探してはパスばかりしてしまう子供がいますが、本当はそういうプレイをその子ども達も望んでいないと思います。自分で常にゴールを狙うプレイを身に付けて、入っても入らなくてもシュートを打ってみる。(届く距離は前提ですが)そういうゲーム中でのシュートは入ると自信にもなるし、モチベーションの増大にもつながりまたさらに練習を頑張れるようになるはずです。子供のうちは上手い子ども達だけがシュートを打つ、ボールを持つ、そんなバスケットボールはおかしいと僕自身考えていますので、技術もティーチングしした上で積極性・攻め気をコーチングして、失敗を恐れずに何事にも挑戦して失敗から学ばせる。失敗から学んで成功へと自分自身で導ける子供になってほしいと願って日々指導しています。打たなければシュートは入らない。という事を実践で学んでほしいのです。(挑戦しなければ、決して達成する事は出来ない。)またゲーム練習の際には、気になったら所々でゲームを止めてその都度指導し、そのプレイから再度入るようにしています。上手くいかなかった時にそこで練習すればもっとも身につくと考えてそうしています。さらに動いている中で、子ども達にあれこれ言っても必死でプレイしている子ども達の耳には入っていきません。出来るだけその場もしくはゲーム終了後に言うようにしていますが、今までの経験上その時に停めて言った方が子ども達が理解できるようです。ゲーム中の動いている中でいろいろと言ったりしても子ども達の耳に届かず、ただ単に何か怒られているといった悪い感情に陥ったり、果てには集中力やる気を削ぐ事にもなり、またさらに怒られるから嫌だ。そういった感情は子ども達の上達を妨げる一因になると考えています。そういう事からゲームを中断して、細かく説明をするようにしています。
  10. 以上です。思いつくまま書いたので実際にはもっと有るかもしれません。でも自分自身まだまだ出来ていない、忘れている事など多々あるとは思っています。でも毎週土日頑張って練習している子ども達が、バスケットボールが少しでも上手くなって楽しくなってバスケットボールをもっと好きになれる様に、またその結果、少年団や学校の部活動において様々な意味での勝つ事が出来て子ども達や保護者の皆さんが喜んでいただけら幸いです。時間の制限もある中、基本コーチが自分一人の時が多く、バスケットボールという本当の多種多様な技術を学び練習する事に加え、体力・運動能力などを鍛える必要のあるスポーツですので、なかなか教えられない事柄が多くまた練習メンバーも日替わりの中指導が行き届いていないとは存じますが、少しでも子ども達がいろいろな意味で成長出来るように、今後もさらに勉強し子ども達と保護者の皆様と共に頑張っていきます。いろいろな意味での応援をさらによろしくお願いします。※ちなみに画像は、自分が敬愛する桜花学園高校女子バスケットボール部コーチ井上眞一氏の著書です。昨年読みました。バスケットボールに興味のある方はぜひ読んでみて下さい。

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